Toll様受容体(Toll-like receptors : TLR)

マクロファージ樹状細胞などの抗原提示細胞に存在する膜タンパク質パターン認識受容体のひとつ。ヒトには10種類の存在が確認されている。トル様受容体とも呼ばれる。

ショウジョウバエの持つTollと呼ばれる受容体に似た働きをするため「Toll様」とされる。Tollはドイツ語で「狂った」という意味。その由来は、この受容体遺伝子変異によってショウジョウバエの背中と腹部に著しい異常が引き起こされたことから。*1

抗原が持つ様々な分子を認識する。抗原提示細胞はこの認識によって活性化し、抗原に対する攻撃や、T細胞の活性化などの働きを行う。認識する分子の種類には、タンパク質脂質多糖類DNARNAなどがある。Toll様受容体の種類によって認識できる分子の種類は異なる。*2

現在ではほ乳類にも、ショウジョウバエと同様にさまざまな種のTLRが広くみられることがわかっており、それぞれのTLRが「特定の病原体由来の成分(リポ多糖類、DNAフラジェリンなど)」を認識することで、免疫のさまざまな経路を活性化させることが明らかになってきた。*3

例えば樹状細胞は、Toll様受容体のひとつであるTLR4細菌エンドトキシンを認識することで、様々なサイトカイン分泌してT細胞を活性化する。

Toll様受容体は、認識後、サイトカイン産生、あるいは、種々の共刺激分子の発現増強を誘導し、Tリンパ球の活性化を惹起し、免疫応答を誘導する。このことから、Toll様受容体は、アジュバント受容体であると言い換えることもできる。*4

Toll様受容体の種類

TLR1TLR9マクロファージ樹状細胞の表面に存在する。*5

文献一覧
*1 技術評論社 西村尚子 知っているようで知らない免疫の話 ヒトの免疫はミミズの免疫とどう違う?(2010/8/25)
*2 技術評論社 桂義元 免疫はがんに何をしているのか? 見えてきた免疫のメカニズム 2016/12/25
*3 技術評論社 武村政春 DNAを操る分子たち エピジェネティクスという不思議な世界(2012/3/15)
*4 大阪大学 微生物病研究所 -病気のバイオサイエンス-: http://www.biken.osaka-u.ac.jp/biken/BioScience/page12/index_12.html
*5 技術評論社 西村尚子 知っているようで知らない免疫の話 ヒトの免疫はミミズの免疫とどう違う?(2010/8/25)


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このページの最終更新日時: 2017-09-12 (火) 12:56:42